映画『42〜世界を変えた男〜』
原題:42
(2013年、アメリカ、128分)
メイジャー・リーグ(MLB)初のアフリカン・アメリカン選手、ジャッキー・ロビンソン Jackie Robinson(1919-1972) 最初の一年を描く、実話に基づく物語。
MLBの全員が白人だった1947年、当時ブルックリンにあったドジャースのオーナー、ブランチ・リッキーは一人の黒人選手を抜擢する。
引き上げたい選手がたまたま黒人だったというより、人種の壁を破るべく敢えて1枠を設け、誰を選ぶか、という風に映画では話が進むが現実もその通りだったのだろうか。
熱心に擁護し続けるこのオーナーは、本当にこんなに理知的な人がいたのかと思うほどだが、ともあれ最重要人物の一人だ。
そしてその彼から依頼され、専任のようになる記者もまた、人種による仕事上の差別も越えようとの闘いを始めていた。
飛行機への搭乗拒否、遠征先でホテルの宿泊拒否といった嫌がらせから、試合中の明らかに不利な判定、心ない野次や侮辱、さらに同じチームメイトであるはずの人たちからの排斥行為…と予期していたとはいえ、様々な逆境に苦しめられる主人公。
しかし同時に、同じアフリカン・アメリカンの人たち、そして差別や偏見を快く思っていない人たちからは希望の象徴として受けとめられ、気骨溢れるプレーは野球を愛する人たちから次第に認められていく。
見せ方としては多少の美化もあるのかもしれない。競技としての野球の表現も素朴といっていいものだ。
20代半ばの青年が背負うには、あまりにも荷が重すぎる使命。だがジャッキー・ロビンソンは闘い抜き、壁を打ち破った。控えめに言っても偉大な人間を、畏敬の念を持って映し出している。
野球好きやスポーツ・ファンのみならず、全ての人に知ってほしい史実だ。
僕は9〜15歳まで軟式野球に打ち込んだ経験があり、今でも観戦するのは好きだ。
特に、誇りを持ってプレーするMLBは素晴らしいと思っていて、観る側も努力し勝ち抜く者には敬意を払い惜しみない称賛を送る。
アメリカのそういうところは好きだ。
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