映画『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』
『ヴィヴィアン・マイヤーを探して』
“Finding Vivian Maier”
(2013年、アメリカ、83分)
生前には一枚も発表せず、誰にも知られることはなかった「写真家」の、驚くべきドキュメンタリー。
死後、ひょんなことからネガフィルムが発掘され、持て余した持ち主が公表してみたところ、瞬く間に評価と注目を集めていく。
その偶然はまさに映画のような物語で、20世紀を代表する芸術家の唐突な登場を我々は目撃する。
写真に関しては僕はときたま著名な何人かの作品をパラパラと観る程度だけれど、それでも彼女の遺した膨大な作品群には思わずハッとされられる。
明らかに意志を感じる視点、深い洞察力に基づく主題もある。それぞれに、はっきりとした作家の刻印がある。
公式ホームページでは、テーマごとに一部の作品を見ることができる。
映画では、主人公がどういう生き方をしてきたのか、彼女を知る人たちからも証言を得て探り出そうともしている。それでも、謎が謎を呼び様々な憶測をしてしまうが、そこはそっとしておいてもいいのではないかと思う。
ともあれ、生涯をかけて撮り続けたヴィヴィアン・マイヤーの写真が、いま明らかにされている。
近い人たちにも私的な生活は教えたがらず、世間から隠れ自らの表現に没頭したかのように見えるけれど、それでいてなお、その写真という表現を通して世界と繋がりたかったのではないか、いや辛うじて繋がっていたのではないかと感じさせられる。
たまたまこのタイミングだっただけで、遅かれ早かれ誰かに発見して欲しかったのではないか。
このまま人知れず消えていくにはあまりに大きな才能だったのかもしれない。
それにしても、世に埋もれている才能はたくさんあるのだろうなぁ。想像すると、目眩を起こしてしまいそうだ。
日本公開の公式ページ↓
(文字化けしていますがリンク先には繋がります)
0コメント